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自分に置き換えて考える

東京オリンピック柔道で金メダルをとった阿部詩選手、愛らしい表情で人気者ですが、日頃柔道の練習以外に本を読んで精神を鍛えているそうです。

 

月刊誌「致知」を出版している致知出版社が42年間のインタビュー記事を1冊にまとめた「11話、読めば心が熱くなる365人の教科書」もその一つだそうです。

 

この月刊誌は書店には置いておらず、申し込みベースの雑誌で、古くから主に会社経営者中心に読まれています。人生の心の糧になる記事を取り上げています。

 

私も、ませていたのか3040歳代の頃によく読んでいました。結構渋い雑誌です。

 

この本の中で2000年シドニーオリンピックの柔道決勝戦で、篠原信一選手が審判の誤審疑いのもと負けたことが取り上げられています。当時の山下泰裕監督は誤審ではないかと抗議しましたが、篠原選手は「あれは自分が弱かったから負けた」「審判に不満はない」と言ったそうです。

また篠原選手は「たとえあれが自分の1本ではなく相手の有効になったとしても。本当に自分に力があったら、残り時間は十分にあったし、あの後で勝てたはずだ。本当の力が自分になかったから、それを取り戻せなかっただけで、そういう意味で自分に絶対的な強さがなかった、と。それから審判に不満がないというのは、審判が間違えるような、そんな試合をした自分に責任がある。誰が見ても納得するような柔道をしなければいけなかったんだ」と言ったそうです。

 

阿部詩選手はこの部分に心を動かされたようで、この気持ちで東京オリンピックに向かったのかもしれませんね。

 

しかし篠原信一さん、カッコいいじゃないですか! テレビでいじられているキャラの裏にはこのような信念と懐の深さがあったのですね。

 

えてして何かあった時、人や状況のせいにし批判しがちですが、「その場その場でなぜそうなったかを自分事として置き換え、自分はどうあるべきか、何をするべきかを考えることって大切だなー」と考えさせられました。

 

つい自分を守るために、人のせいにしてしまう自分が恥ずかしくなる、篠原信一物語でした。