人は自分の得意なこと、好きな事を行うことで、自分の存在感を感じ、また周りの人もそれを認め、受け入れ、価値ある存在と思うことで、人は幸せになれるのではないでしょうか。
「バリデーション」という言葉があります。
認知症の人とのコミュニケーション法で、認知症の方の言動や行動を意味あることと捉え、認め、受け入れることを言います。
また認知症の方が人生でやり残したこと、心の傷になっていること、つまり「人生の未解決の課題」に対して奮闘することへの支援も含まれるようです。
その為には、傾聴が大切で、認め共感する。また相手のペースに合わせる。言ったことを繰り返し反復する。嘘をつかない、ごまかさない。相手と同じようにふるまう。目を見る。いろいろな方法で触れる。
こういったことが、痴呆者の方々の尊厳とモチベーションにつながるということです。
また介護する側にもよい効果がでるようです。
諏訪中央病因名誉院長の鎌田實先生がご自身の痴呆患者さんのことを話されていました。
その方は若年性痴呆の方ですが、「痴呆症になって、ちょっと不便になったけど幸せだよ」と言われるようです。痴呆症を自覚することで、例えばお風呂のお湯を入れるときは10分後にタイマーをかける、忘れた後にわかるようにいつもメモする、など工夫すれば問題ない、といたって前向きです。この方は、初めてピアノを習い、絵も描き始め、ピカソの絵のような天才肌の絵を書かれるようです
鎌田先生は「痴呆症になると、ダメと一般的に思う人が多いが、良い所、細胞がまだまだ残っており、そこを取り上げ活かすことで充分に幸せになれるのです。」と語られます。
私はこの話を聞いて、痴呆症の人が自分を受け入れ、何が出来るかを考え、ポジティブに生きることで、楽しい人生を過ごせることに驚きました。
だったら、健康な体で、定年活動を出来ている我々は、出来る範囲がかなり広いので、もっともっとやれる、と思ったのです。
「バリデーション」という言葉のように、自分の存在価値を高め、自分の言葉や行動を意味あるものとしてとらえなおす勇気を持つことで幸せを感じ、自分オリジナルな定年活動、そして自分ならではの人生が見えてくるのでないでしょうか。
共に励まし合って進んでいきましょう!
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